東洋大は箱根駅伝で再び輝けるか。エースと山上りで「3強崩し」に挑む (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News

 正月決戦で上位戦線に切り込んでいくには、エース西山和弥(4年)の走りがカギになるだろう。箱根は3年連続で1区に出場し、1、2年時は区間賞を獲得。前回は区間14位と苦しんだが、原因はハッキリしている。

 2年時の箱根のあとに右恥骨を剥離骨折すると、7月には左脛骨を疲労骨折。左脚が完治してからもフォームのバランスを崩していたのだ。その影響もあり、前回の箱根後には左恥骨を疲労骨折した。

 今季は4~6月の自粛期間中に自らの体を見つめ直して、週5~6回のプール通いとフィジカルトレーニングで左右の筋力バランスを整えた。8月にはチームの夏合宿で走り込み、男子マラソン日本記録保持者・大迫傑(Nike)が主催する「Sugar Elite」の短期キャンプにも参加。新たなフィジカルトレーニングを導入したこともあり、徐々に自信を取り戻していく。
 
 そして、9月の日本インカレ10000mで日本人2番手の5位(28分43秒17)に食い込むと、10月17日の宮崎県長距離記録会10000mは2年ぶりの自己ベストとなる28分03秒94で走破した。全日本7区は区間11位と振るわなかったが、記録会の疲労と、新シューズに慣れていなかったことが原因。前回と違って体に不安はなく、最後の箱根は"鉄紺のエース"としての走りを見せるつもりでいる。

 酒井監督は西山を、日本選手権10000mのために磨いてきたスピードを生かせる区間に配置することを示唆しており、1区もしくは3区での起用が有力だ。そして、西山とともに攻撃ポイントとなるのが、前回5区で1時間10分25秒の区間新記録を樹立し、区間賞を獲得した宮下隼人(3年)だ。

 今季は10000mで28分37秒36の自己新をマークすると、全日本8区は前年のタイムを1分20秒も短縮している。今回は「1時間10分切り」を目標に掲げ、"山の神"と呼ばれた先輩・柏原竜二以来となる5区の連続区間賞を狙っている。

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