明治大は箱根で3強に迫る戦力。成長の裏に「阿部効果」「宗兄弟の教え」 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 さらに、復路の競り合いの起点ともなる7区には手嶋がいる。

「前回の3区という手もあるが、少し上ったり下ったりした方が走りにリズムの出るタイプなので、3区より7区の方が合っていると思います」

 今年はチームトップの28分17秒58(1万m)まで記録を上げているだけに、前回の阿部のような走りも期待できる。

 その後の8、9、10区には、豊富な候補がいる状況だ。

 1万mを28分40秒92まで上げ、大学駅伝初出場だった全日本で6区の区間2位に入った大保海士(4年)は、ロードの適性があってアップダウンも強い選手。他にも、タイムを28分36秒54まで上げてきた長倉奨美(4年)や、前回9区を走った後に28分40秒61(1万m)まで上げている村上純大(4年)、28分35秒41で爆発力もあるという富田峻平(2年)などがいる。

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「ほかにも、小澤大輝(2年)や漆畑瑠人(2年)も面白いし、前回4区を走った金橋佳佑(3年)も安定感があるので復路向きです。結局は、直前で調子のいい選手を起用することになると思いますが、ポイントになる9区は最初の下りで突っ込んでいかなければタイムが伸びないので、それをできる選手を使いたいと思っています」

 今回エントリーしている16人は、本当に選びたい選手全員を選べたという。また、チームとしても、長距離選手46人中、故障で別メニューの練習をしているのは一人だけ。栄養指導も開始したことで、各選手が体のことを考えるようになった効果もある。なによりチームの調子がいいだけに、各選手に「ケガをして取り残されたくない」という意識の高さが浸透している。

「本番直前になれば、選手たちも神経質になって『足が気になる』など言い出すと思うので、あまり彼らを焦らせることなく備えていきたいと思います」

 そう言って山本監督は笑顔を見せる。今回の明治大は"チーム力で戦える状況"を整えているところが、大きな強みになりそうだ。

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