明治大は箱根で3強に迫る戦力。成長の裏に「阿部効果」「宗兄弟の教え」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 実際に前回の箱根で走ったときでも、明治大の選手たちは他校の選手の持ちタイムを意識してしまい、臆している印象があった。

 しかし、この1年でスピードと持久力の練習に取り組んだことで課題を克服。エントリーした上位10人の平均タイムは、駒澤大に次ぐ2位の28分31秒78まで上がった。

「ただ、駅伝は持ちタイムがそのまま反映するものではない、ということは前から選手たちに話していました。『記録は自信になると思うけれど、あとはそれぞれが適材適所のコースできちんと駅伝の走りができるようにしよう』と伝えました」(山本監督)

 前回の箱根での目標はシード権獲得だったが、明治大の区間配置は戦略性の高いものだった。2区には長い距離に安定感を持つ当時1年生の加藤を置き、3区には手嶋杏丞(きょうすけ/当時2年)、5区の鈴木聖人(きよと/当時2年)を配置した結果、手島は順位を12位から7位へ、鈴木も9位から5位へと上げた。

 そして、エースの阿部は7区を区間新で走り、3位争いへのお膳立てをした。全体としては、区間10~13位で走るところが5区間あったものの、タイムを稼ぐべきところで稼げたため、6位と上々の結果だった。

 その戦略について、山本監督はこう振り返る。

「僕が旭化成で選手やコーチだった時に宗さん兄弟が、『(旭化成陸上部が)90年代に駅伝で勝ち続けていた頃(ニューイヤー駅伝90年〜95年、97年〜99年優勝など)は、エース区間をほぼ(他チームと)同等の走りでしのいで、つなぎの区間でドカンと勝つようにしていた』と話していたことがすごく印象的に残っていました。それで、前回も阿部をエース区間にぶつけるより、むしろ7区で爆発させて気持ちよく卒業させた方がいい、と思いました。

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