実業団駅伝の監督が語る仕事と競技の両立。ユーチューバーになったわけ (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

「うちは、条件がそんなによくないので前から声をかけていた選手が来てくれることはほぼないです。そこで狙い目は、まず大学4年生になって伸びた選手。金子(晃裕)もそうですけど、4年生で開花した選手は、3年までは自分のやり方を模索して、4年になってやっといろんなものがかみ合って力を出せたということなので、まだ伸びます。あと、スピードがあってケガが多い選手。ケガが多いのは、本当は走れる力があるのにその練習が合っていないだけ。最後は、人間性ですね。タイムがいいけど、態度が悪いとかはダメ。うちは接客業なのでめちゃくちゃな人をスーパーには出せませんから」

 コモディイイダが面白いのは高校・大学の新卒だけではなく、中途採用も積極的だということだ。2019年には駒澤大で箱根駅伝でも活躍した中谷圭佑を中途で採用した。

「採用を見極めるポイントは、即戦力ということがひとつ。あと、うちの会社に入って何をやりたいかですね。行き場のない学生や社会人にとってはうちに来れば仕事で走れるし、合宿もできる。でも、それで満足されてしまうと意味がない。それにうちは基本的に強化枠が約15名程度。ひとりを入れるとひとり出さないといけない。それに見合う選手かどうか、ということなので門戸は開いていますが、けっこう厳しく見ています」

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 また、会沢監督は選手のセカンドキャリアについても考えている。

「30歳過ぎまで選手をやっていると引退した時、今までやってきたプライドがあってできない仕事もあると思うんです。そういう選手の受け皿がないといけないと思っています。今まで得意分野で社会や会社に貢献してきたものを引退後もできて、それが売り上げになればすごくいいじゃないですか。たとえばスポーツジムを会社のテナントに入れて、そこでコーチや管理を任せるのもありかなと思っています」

 陸上は、監督になる選手が少ないが、市民ランナーのランニングコーチやスクール、トレーナーの道を歩む人が多い。今年、退職して引退した中谷もランニングコーチに転身している。引退する際、自分の得意分野を含め、いくつかの選択肢を提示してくれるのは選手にとってはありがたい話だ。

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