全日本大学駅伝で見えた箱根への展望。
底力を見せた3強に他大学はどう挑むか

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 青学大も駒澤大や東海大と同じく、今回は1年生2名と2年生2名の新戦力を使って戦いに臨んでいた。爆発力のあった佐藤の走りや、3区の中村唯翔(2年)の区間3位の走りを確認できたことは、箱根へ向けても大きな収穫だ。

 また、前回の箱根では9区まで4位だった明治大も、大エースが不在ながらもまとまった力を見せて3強の一角を崩す3位と健闘した。

 今回の結果の中で、最も印象的だったのは3強の底力とともに、駒澤大の田澤が学生界のエースとなりうる可能性を見せる走りをしたことだ。

 大八木監督は箱根に向けて、「前回が8位だったので、3位以内を目指したい」と謙虚な発言をするが、田澤が爆発したうえでの往路優勝も視野に入れ、「それで流れに乗ることができれば......」という思いもあるだろう。ただ、「うちは若いチームなので、ハーフマラソンを走れるスタミナをつけて層を厚くしていかなければいけない」と言うように、力のある選手を残している青学大や、素質のある選手が多い東海大の総合力はひとつ上だと考えているはずだ。

 そんな青学大と東海大に対し、駒澤大が田澤を武器に、どこまでライバル校を慌てさせられるか。また、「今回の8人以外にも走れそうな選手がいるので、箱根は層の厚さで勝負したい」と、山本佑樹監督が自信を口にする明治大も楽しみだ。

 さらに今回は予選会1位通過から2週間で調整しきれなかった順天堂大が、エース候補で、今回1区区間賞の三浦龍司(1年)をどう起用して総合力の高さを生かして上位を脅かしてくるのかも、今季の箱根駅伝の見どころになりそうだ。

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