箱根駅伝でダークホースとなるか。古豪・順大復活の可能性は十分にある (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 今年の箱根で順大は1区で18位と出遅れた。そのあとも、一度もシード圏内に順位をあげられないまま14位で終えた。今年だけではなくエースの塩尻がいた頃も、1区は出遅れていた印象がある。

 長門監督は「前回はハイスピードの展開に出遅れたが、今年の予選会はスピードに対応できたので、本戦でもしっかり上位で戦えるようにしたい」と期待を高める。実際に今回の総合力の高さを見ても、順大は確実にシード権圏内の戦いができるだけの実力を蓄えているようだ。

 学生トップクラスのエースは不在だったが、今後は三浦がそのエース候補に育っていく可能性を見せてくれたことも大きい。本戦での彼の起用区間は未定だが、鬼門の1区さえ乗り切れば「伝統校・順大の復活もありうる」と期待を持たせてくれる予選会となった。

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 そんな順大とともに、本戦でもしっかり戦えそうな雰囲気を見せたのが総合10時間26分13秒で2位になった中央大だ。予選会には、前回の箱根で2区を走った川崎新太郎と、8区を担った矢野郁人の4年生を外したオーダーで臨んだ。その理由について藤原正和監督は「手島駿(3年)や中澤雄大(2年)、園木大斗(1年)、湯浅仁(1年)という大学のビッグゲームを経験していない選手たちをあえて使い、今後のチームビルディングや本大会へ向けての経験値をより上げていくため」と説明した。

 さらに9月の日本インカレ5000mで優勝していた吉居大和(1年)と前回の箱根で7区を走った森凪也(3年)について、藤原監督は「このふたりは世界に出ていかなければいけないので、逃げグループでチャレンジさせると早い段階から決めていた」と、実際にレースで日本人トップ集団につけさせた。

 その中で吉居は攻めのレースをしたが、最後は競り負けて1時間01分47秒で10位という結果に終わった。

「スタートから順大の三浦を意識していました。負けたくないと思っていたので本当は逃げ切りたかったのですが、10km手前で後ろとの差が詰まってきたので『ラストで勝つしかない』と気持ちを切り替えました。日本人トップを目指していたので、負けたことが悔しいです」(吉居)

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