MGC勝者・中村匠吾の武器はロングスパート。周到な計画で才能が開花した (4ページ目)

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • photo by Jun Tsukida/AFLO SPORT

 だが中村はタフな展開でも余力を残し、マラソンの最終盤でスピードを絞り出せる力をMGCまでに手にした。暑さへ適性も高く、好タイムを記録したベルリンマラソンは9月と、夏のレースの成功体験があった。実戦を見据えたトレーニングと実戦経験が、MGCの大舞台で花開いたといえるだろう。学生時代に駅伝で見せていた強さを、マラソンの場で力強く発揮したのだ。
 
 この覚醒を経て、新たに見えてきたものもあるはず。その問いにも中村の答えは明快だ。

「来年のオリンピックで力を出し切り、いい結果を出すのが今の目標です。そのためには今まで積み重ねてきた力にさらに磨きをかけていくことが重要だと思います。オリンピックではMGC以上の走りを発揮し、そのあとには日本記録を狙いにいきたいです」

 大八木監督も同じ考えを持っている。

「ハイペースに対応するだけのスピード持久力をさらに高めていきます。そうすれば終盤まで先頭集団、もしくはそこに近い位置でレースを進められますし、ラストの余裕度も高まり、得意のロングスパートも発揮しやすくなるでしょう」

 終盤まで先頭集団につき、最後に伝家の宝刀の「ラストスパート」のキレ味を発揮する。これまでの方向性に変わりはない。MGCで覚醒したロングスパートをオリンピックでどこまで進化させることができるか。力を研ぐ時間はまだ1年以上ある。

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