大迫傑の快進撃は、「魔法のシューズ」のデビュー戦から始まった (3ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by Toshihiro Kitagawa/AFLO

「タイムもそうですけど、順位は思った以上だったので、そのあたりはよかったと思います」と大迫。レース前に、コーチのピート・ジュリアンとは「2時間11~12分で走れれば、5~6位に入れるかな」と話していたそうだが、結果は想定以上だった。

 かつての大迫はスピードがある"速い選手"ではあったが、箱根駅伝など20km以上のレースでは終盤にペースダウンする印象があった。しかし、初マラソンのボストンで一変。約10週間という短い準備期間で、30km以降にビルドアップして、42.195kmをしっかりと走り切ったのだ。

 突発的ともいえるマラソン挑戦の裏には、小さな自信と東京五輪という大きな目標があった。

「(2016年の)10月から丸亀ハーフに向けて、少しずつマイレージを伸ばしていました。丸亀ハーフは、やってきた練習内容からすれば上出来だったので、『マラソンも走れるんじゃないのかな』という気持ちになったんです。それに、東京五輪をマラソンで狙うのであれば、早めにマラソンを走っておいたほうがいい。ロンドンマラソンも(ボストンマラソンと)ほぼ同じ時期ですけど、トップ集団の中でマラソンを経験したかったので、速すぎないレースを選びました」

 初マラソンを終えた後の感想の中に、大迫らしい言葉もあった。それは、「ボストンの手応えから、マラソンをどれくらいのタイムで走れそうか?」と尋ねた時だ。

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