サニブラウンが2回目の「ボルト超え」。その走りに世界が驚いた (2ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by Toshihiro Kitagawa/AFLO

 しかし男子100mの準決勝2組では、スタートの3、4歩目で大きく体勢を崩し、完全に出遅れて10秒28の7着。ミックスゾーンに現れたサニブラウンは、「盛大にやらかしましたね」と、悔しさを吹き飛ばすように笑っていたのが印象的だった。

 伊東強化委員長は、「中間総括」の囲み取材の中で「(サニブラウンの男子100m予選は)世界全体の中でも評価できる価値があるもの。(決勝進出の)期待が現実に変わろうとした」と話したが、約5時間後、我々はその"現実"を目の当たりにすることになった。

 男子200m準決勝で、世界の陸上ファンが日本の若き才能を見極めようとしていた。

 2日前の男子200m予選は、本人も「前半が思っていたより出なかった」と振り返ったように、後半に追い上げての2着通過だった。その反省から、準決勝2組で一番アウトの9レーンに入ったサニブラウンは序盤から飛ばし、持ち味の後半でも強さを発揮。男子100mで4位に入ったブレークを蹴落として、20秒43の2着でファイナル進出を決めた。

 サニブラウンはマイペースな性格で、あまり感情を表に出すタイプではないが、このレース後はさすがに高揚しているように見えた。一度は記者の前に姿を現すも、「ちょっと着てきていいですか?」とベンチコートを羽織り、笑みを浮かべて戻ってきた。

「ラッキーという感じですね。後半は誰も来なかったので、『そのままいけるかな』と思いながら走りました。今日は最初の100mを集中して、いい具合で出られたので、そこがよかったのかなと思います」

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