池田向希が競歩代表に内定。強さの秘訣は同郷同学年の「同志」の存在

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News

 男子20km競歩の東京五輪選考会最終戦、全日本競歩能美大会で池田向希(東洋大・3年)が優勝し、内定を決めた。

 2月に行なわれた日本選手権も選考レースだったが、すでに内定している山西利和(愛知製鋼)が優勝し、新たな代表内定はこの大会にかかっていた。

勝負強さを発揮して、東京五輪内定を決めた池田向希勝負強さを発揮して、東京五輪内定を決めた池田向希 晴れてはいたが、少し風のある条件でレースは始まった。先頭集団を引っ張ったのは、50km競歩で東京五輪内定を決めている鈴木雄介(富士通)だった。

 最初の3km(往復1kmのコース)までは、1km3分58~59秒のペース。そこからは3分55秒前後で、ゴールタイムは日本選手権よりも遅い1時間18分後半になりそうな計算で、完全に勝負狙いの展開になった。

 そんななか、11kmを過ぎてから鈴木が1km3分48秒までペースを上げ、次の1kmも3分51秒と揺さぶった。

 そのときの状況を、鈴木はこう振り返る。

「あそこで上げると後半は持たないとわかっていました。けれども、そこで上げないとレースが動かないし、同じ富士通の高橋英輝(えいき)に出場権を取ってもらいたいという気持ちもありました。皆、疲れているようだったので、ペースを上げれば様子が見えると思いました。1周だけでもよかったのですが、藤澤勇(ALSOK)と古賀友太(明治大)がキツそうだったので、2周続けて(ペースを)上げました」

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