神野大地「これが限界なのか...」。東京五輪出場ならず、次なる挑戦は? (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kishimoto Tsutomu

「それまでほぼ予定どおりに走れていたんですけど、いきなり落ちて......自分のペースでいくと決めていたんですが、結構、最初から前が速かったんです。それでスタートからほぼひとりで走って、風も出てきて......そういういろんなダメージが30キロから出たのかなと思います」

 レースプランは、30キロ以降も自分のペースを維持し、ハイペースで入って落ちてきた選手をひとりずつ抜いていこうと思っていた。だが、予想外に選手はハイペースのまま行き切った。

「30キロくらいから、前の選手が落ちてきて拾っていけると思っていたんですが......前が見えないのがメンタル的にきつかった。結局、自分の周りには誰もいなくて、最後までひとりで走ることになってしまいました。調子がよかったので、集団についてレースをしていたらどうなっていたのかなというのはありますけど、自分のペースでいくと決めていたので。今回はその戦略が間違っていたのかなぁ......と」

 タイムを見ても、神野の失速は明らかだった。30キロから35キロのラップは15分59秒、35キロから40キロは16分55秒まで落ち込んだ。この激しい落ち込みが、目標タイムである8分台を遠ざけてしまった。

 レースを見ていたフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一は、複雑な表情を浮かべていた。

「3年間やってきて、筋肉はついたし、肺機能も強くなってきた。しかも今回、神野の状態はすごくよかった。そのなかで8分台が出ないというのは、何かしら問題があると思うんです。やり方は間違っていないけど、そこに何かが追いついていない。それが何なのか......今後、チーム全体で見つけていかないといけないと思っています」

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