競歩は東京五輪で複数メダルの
可能性大。代表争いはさらに激化!

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPOR

 こう話す山西だが、1時間17分36秒という記録については、こう評価する。

「去年の能美大会で出した自己ベスト(1時間17分15秒)に比べると少し落ちるけど、今の状態でこのタイムを出せたのは、昨年からの1年間の取り組みのベースが効いている。地力がついてきているから、ピカイチとは言えない状態でもこういうタイムが出せたのだと思います」

 歩型をジャッジする審判員は主任1名のほか8名いるが、この大会には五輪を担当する海外の国際審判員が5人来ていた。さらに、これまでの2km周回から1km周回になったことで、歩型を見る回数は単純計算で2倍。高橋だけではなく2位でゴールした野田明宏(自衛隊体育学校)にも、ゴール直前3枚目の警告カードが出ていることを考えると、警告の枚数がこれまでよりも多く、全体的に判定は厳しくなっていた。

 そんななかでも、山西は警告カードが1枚、その前段階である注意のカードは1、2名の審判に出されただけ。このジャッジは山西に自信を与えた。

「注意を4、5回出されていればフォームが悪いということだが、1、2回なら問題ないと思う」

 昨年の世界選手権で優勝はしたが、2位とは15秒差で、「本当はラスト3周を3分40秒で歩いて圧倒的な勝ちかたをしたかったので、悔しい。自分としては理想を追いかけたいので......」と、フィニッシュした瞬間にも笑顔を見せなかった山西。

 さらに、もし東京五輪で金メダルが獲れたとしても満足しないだろうと話す。

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