2020.02.17

アテネ五輪マラソンで野口みずきは決めていた。
作戦的中で金メダル!

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

「スパートしても、ほかの選手についてこられるかもしれない。飛ばしていっても、前半のアップダウンや暑さで思った以上に自分がバテていて、どんどん追い抜かれてしまうかもしれない」

 いろんなことを考えて、どうするか迷いながら走っていたが、25km地点へ行くと、自然に体が反応していた。

 この大会では、5kmごとのポイントのすぐあとに給水所があった。野口は25kmでも給水だけを意識し、それまでと同じようにペースアップをしてボトルを取った。そして誰もついてきていないとわかると、そのままの勢いで仕掛けたのだ。

 ただひとりついてきたエルフィネッシュ・アレム(エチオピア)は、余裕がありそうだと思いながら見ていただけに、気になる存在だった。以前走った世界ハーフマラソン選手権で、後ろについていた黒人選手にラスト数100mで逆転されて負けたことが野口の頭をよぎった。だが、27kmでアレムが遅れはじめた。

 野口のスパートの瞬間、ヌデレバがまったく警戒せず集団の後方につけていたのも幸いした。それまでの5kmは急な上り坂ということもあって、20kmまでの17分台後半のペースから、18分08秒に落ちていた。

 条件を考えればまずまず速いペースだったが、野口は25kmからの上りの5kmを16分57秒に上げた。30km通過では2位のアレムとは23秒差で、3位のラドクリフには31秒、4位のヌデレバには37秒差に開いていた。