2020.02.07

室伏広治は五輪優勝後に思った。
「金メダルよりも重要なものがある」

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 そして、表彰式で銀メダルを受け取った際に「真実、という言葉がすごく印象に残った」と、メダル裏側に古代ギリシャ語で刻まれた詩人・ピンダロスの"真実の母オリンピアよ......"で始まる詩を紹介した。

 真実の母オリンピアよ。
 あなたの子どもたちが競技で勝利を勝ちえたとき、
 永遠の栄誉(黄金)を与えよ。
 それを証明できるのは真実の母オリンピア。

 そして硬い表情のまま、続けてこう述べた。

「ハンマー投げの仲間が、こういう形でドーピング検査に通らなかったことは非常に残念だと思います。ハンマー投げだけではなく、男子円盤投げと女子砲丸投げでも失格になった選手がいます。投擲種目がこのような結果になったことは、悔しいというよりむしろ、ちょっと寂しい気持ちです」

 アテネ五輪の翌年、05年の室伏は日本選手権のみの出場だったが、06年にはワールドアスレチックファイナルやワールドカップなど、出場した8試合すべてで優勝した。その後は蓄積した体の疲労にも悩むようになり、競技と並行して体を痛めない効果的なトレーニングの探求も始めるようになった。