室伏広治は五輪優勝後に思った。「金メダルよりも重要なものがある」 (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

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 最後の6投目。室伏が放ったハンマーは空へ高く飛び出すと、80mラインを大きく越えた。それまでの最高はアドリアン・アヌシュ(ハンガリー)の83m19。室伏はそれを上回って金メダルを決めたかにも見えた。だが、結果は82m91。28cm届かず、2位にとどまった。

 記録が出た瞬間、室伏は地面を叩いて悔しがった。父親の重信氏も「回転を追う方向が非常によく、力を全部出して持っていけたので、いったなと思いました。試合では、力を出し切れるものが一投でもあればいい。それをもっと早く、疲れのないうちに出せていればよかったのですが......」と、悔しそうな表情で話した。

 このアテネ五輪の男子ハンマー投げ決勝は、室伏に加え、前年の03年世界選手権優勝のイワン・ティホン(ベラルーシ)と同2位のアヌシュ、この3人の優勝争いになると見られていた。先手を取ったのはアヌシュだった。3投目には83m19と、投げるごとに記録を伸ばした。

 それに対して室伏は3投目までのベスト記録は、2投目に出した81m60。一方、ティホンは1投目と2投目が防御フェンスに当たるファールとなり、3投目は78m55と勢いに乗り損ねていた。

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