神野大地は東京マラソン2時間8分台も視野。有言実行の金メダル獲得 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun

 さらに、海外でレースをするのに必要なものも把握できた。たとえば、今回は米、鮭フレーク、味噌汁、ミネストローネ、乾燥納豆などを持ち込み、現地の食材と合わせて摂った。現地の米がイマイチの場合、エネルギー源が損なわれてしまうので、米は持参すべきだと、あらためて思ったという。

「今回は、いろんな意味で収穫がすごく多かったです」と、神野は表情を崩した。ただ、反省も忘れていない。

「6キロ地点で相手にどんどん先をいかせてしまった。あのまま大逃げされて負けていたら、後悔していたと思うんです。自己ベストは僕のほうが上なのに、なぜついていかなかったのかって。今回は最終的に勝つことができたけど、もっと早い段階で追う必要があったんじゃないかというところは反省ですね」

 ペースメーカーがいればこうした展開はあまり起きないが、不在のマラソンでは何が起きてもおかしくはない。今回、それを経験できたことで神野の経験値はまたひとつ上がった。

 MGC後はいろいろと悩んだが、チャンスをもらい、金メダルという結果を出すことでマラソンランナーとしての自信を取り戻すことができた。なにより、次の目標達成への期待が大きく膨らんだ。

「これまでマラソンを走ってきて、経験値は上がっているけど、前に進んでいるかというとちょっと違うかなという感じだった。今回の優勝はそういう意味で自分にとってすごく大きな一歩だった。これを次につなげていきたいですね」

 マラソンランナーとしてひとつの実績を上げることができた。次の目標は2時間8分を東京マラソンで実現することだ。

「決してハードルの高い目標じゃない。本当に手の届くところまできている」

 自信に満ちた表情で、神野はそう言った。

 ここから神野は、東京マラソンで目標タイムを切るために、ケニアでさらに強さを身につけ、地に足をつけてマラソンに取り組んでいく。

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