箱根駅伝で帝京大が「5強」を崩す。エース不在も復路で力を発揮する (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News

 前回、3区で8人抜きを演じた遠藤大地(2年)は全日本を欠場したが、再び3区で快走を見せてくれるだろう。前回6区で区間5位だった、1万m帝京大記録保持者の島貫温太(4年)、前回9区で区間3位の小森稜太(4年)、セブンヒルズ15kmロードレースで遠藤に先着した中村風馬(2年)らも往路メンバーの候補に挙がる。

 前回は5区で区間16位に沈んだ小野寺は、8区を希望。今季は5000mで13分台に突入すると、出雲5区で区間賞。11月17日の上尾ハーフでは帝京大記録を10秒更新する1時間2分03秒をマークしている。箱根では小野寺の入る区間が攻撃ポイントになりそうだ。

 今回は東海大、青学大、東洋大、駒大、國學院大が"5強"と言われているが、選手たちは「総合優勝」を目標に掲げている。中野監督はというと、「ウチは6番手以下なので、隙があれば一角を崩したい。往路はタイム差だと思うので、往路で好位置につけて復路でかき乱したいと思っています」と話す。

 中野監督は倒産、廃部によって実業団チームのコーチ職を2度も追われた"苦労人"。そのせいか、「日本一諦めの悪いチームにしたい」という気持ちを持っている。そして駅伝は快走よりブレーキのほうが順位に影響を及ぼすため、「負けを小さくすること」を徹底してきた。それが"帝京大らしさ"につながっている。

 学内には、サッカー選手の本田圭佑と業務提携したスポーツ医科学センターがあり、サポート体制も整っている。中野監督は第100回大会(2024年)で優勝するというプランを描いており、そのための準備を着々と進めている。

 今回も総合力を考えると、2区終了時で好位置につけることができたら、過去最高の4位を上回るトップ3入りも十分に可能だ。復路では間違いなく強さを発揮するチーム。5強がモタモタすると、帝京大が一層不気味な存在になってくるだろう。

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【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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