箱根駅伝の歴史を國學院大が動かす。
往路Vだけでなく総合優勝も視野に

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Kyodo News

 箱根駅伝は前回の往路3位メンバー全員が残っており、「往路V」と「総合3位以内」がターゲットだ。前回も好走した1区:藤木、2区:土方、3区:青木、5区:浦野のオーダーが濃厚。前田監督は、「1区の藤木で区間賞争いに加わり、2区の浦野で好位置につけて、3区の青木と5区の浦野で攻め込みたい」と、往路Vに向けての戦略は固まっている。

 1区候補の藤木は、甲佐10マイルロードレースの男子一般で9位(46分26秒)に食い込んでおり、高速レースになっても十分に勝負できる。トップ争いで2区につないで、土方はゆったりと入り、後続から上がってきた有力ランナーについていく展開に持ち込みたい。

 3区候補の青木は単独走が得意で前田監督も「駅伝力が高い」と評価する選手。前々回は3区で区間5位、前回も3区で区間6位と活躍している。今季は全日本大学駅伝の5区で区間賞。11月23日の1万m記録挑戦競技会でも自己ベスト(28分44秒01)をマークしており、3区でも攻撃できる。

 4区は前回の経験者である茂原か、出雲と全日本で好走した中西大翔のどちらかが入ることになるだろう。ライバル校と比べて戦力的には劣るが、5区には絶対エースが控えている。

 浦野は前回5区で1時間10分54秒の区間新記録を打ち立てたが、昨季は夏に故障があり、走り込みが十分ではなかった。加えて、上りの練習もほとんどしていなかったという。今季は故障もなく順調にトレーニングを消化。走力がアップしただけでなく、起伏のあるコースを意欲的に走り込むなど、上りを走った距離は大幅に増えた。

「5区は往路のアンカーなので、当然ゴールテープを最初に切ることを考えています。僕のところで2分~3分くらいの差は何とかしないといけない。1時間8分台を出せれば、(先頭から)3分~4分差(のスタート)でも逆転できる計算です」と、浦野は区間記録の大幅更新を狙っている。

 復路の戦力も前回以上だ。6区は1万m28分台の島﨑が準備しており、好スタートを切ることができるだろう。上尾ハーフで藤村遼河(3年)と河東寛大(3年)が1時間3分台20秒台をマークするなど、選手層は厚くなっている。

 エース浦野でトップに立って、往路でどれぐらいの貯金をもたらすことができるのか。初日のリードを生かして、ライバル校のミスを誘発できると、初優勝のチャンスが巡ってくるかもしれない。令和最初の箱根駅伝で、國學院大が歴史を動かす。

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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