箱根制覇へ青学大は原監督の戦略がカギ。
調子は上向きも強み区間がない

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by Nikkan Sports/AFLO

箱根駅伝2020 有力校はココだ!  
戦力分析 青山学院大学編

 今季の青山学院大は強いのか。これまでの戦いを見る限りでは、今ひとつわからない。

 前回の箱根駅伝は4区と5区の連続ブレーキで5連覇を逃し、区間記録保持者3人を含む前回メンバーの5人が卒業。今年5月の関東インカレ2部では、5000mと1万mで入賞ゼロに終わるなど、チーム力は大幅にダウンしたかと思われた。しかし秋以降、チームの状態は上昇カーブを描き続けている。

箱根に向けて「やっぱり大作戦」というテーマを掲げた、青学大の原晋監督箱根に向けて「やっぱり大作戦」というテーマを掲げた、青学大の原晋監督 10月14日の出雲駅伝は5位と、2014年度以降でワースト順位。それでもエース格の鈴木塁人(4年)を欠きながら、優勝した國學院大と53秒差でフィニッシュした。続く11月3日の全日本大学駅伝では、4区終了時でトップと1分37秒差まで引き離されながらも、アンカー勝負まで持ち込んで2位に入った。

「強いか弱いかわからないチーム状況だった春先を考えると、全日本はよく盛り返した。地力はある。8区間から10区間になる箱根駅伝は、我がチームにとってはプラスになる。『優勝を狙う』と公言できるチームになったんじゃないのかな。箱根は4年生に(優勝が)かかってくるので、残り2カ月で仕上げていきます」

 そんな原晋監督の言葉どおりに、全日本後のレースはすばらしかった。11月10日の世田谷246ハーフは、飯田貴之(2年)が1時間3分11秒で優勝。ほかにも、3位の新号健志(3年)、4位の湯原慶吾(2年)、5位の近藤幸太郎(1年)、6位の中村唯翔(1年/今回エントリーはされず)、7位の中倉啓敦(1年)までが1時間3分台をマークした。

 11月23日の学連1万m記録挑戦競技会では、例年以上に存在感を発揮する。中村友哉(4年)が28分31秒68で総合トップを飾ると、1万m初挑戦の岸本大紀(1年)が28分32秒33。さらに、吉田祐也(4年)、湯原、飯田、吉田圭太(3年)、岩見秀哉(3年)、鈴木も28分台をマークしたのだ。

 これまでは、大半の選手が青学大とユニフォーム契約しているアディダスのシューズを着用していたが、このレースから世界のマラソンを席巻しているナイキの厚底シューズ(ズームX ヴェイパーフライ ネクスト%など)を"解禁"。その成果もあったのかもしれない。箱根のエントリーメンバー上位10人の1万m平均タイムは、28分45秒36まで急上昇し、出場全チームの中でトップに躍り出た。5連覇が確実視されていた前回の28分43秒93には届かなかったが、4連覇を達成した前々回の28分52秒03は約7秒上回った。

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