五輪マラソンの東京コース、
幻と消えた「絶好のフリー観戦ポイント」

  • 門脇正法●取材・文 text by Kadowaki Masanori
  • 門脇そら●撮影 photo by Kadowaki Sora

 また、「東京タワー」と「皇居」の周辺は、インスタ映えするのはもちろんのこと、沿道を埋める人たちの数に対してスペースは比較的余裕があり、レースをじっくりと観戦できた。こうした点からも「東京タワー」と「皇居」は、このコースのおすすめ観戦スポットになるはずだったといっても過言ではない。

MGCの観戦時はスペースに余裕が見られた皇居付近MGCの観戦時はスペースに余裕が見られた皇居付近

 最後の③になるが、スタートして新国立競技場の前を駆け抜けた選手たちを見送った後、私は都営大江戸線の「国立競技場前」の駅から地下鉄に乗って、「赤羽橋」で降りて東京タワーの脇を激走する選手を迎えてから、もう一度、新国立競技場に戻ってゴールを目指す選手たちを追ってみようと、国立競技場前→赤羽橋→国立競技場前の移動にチャレンジしてみた。

 女子の選手たちが通過した直後、大江戸線に乗った私は、このMGCで東京五輪の女子マラソン日本代表の座を狙っていた鈴木亜由子選手の地元、愛知からの大応援団と地下鉄内で遭遇する。

「これから銀座に行って、応援するのよ!」

 地元を夜行バスで出発し車中泊で十分に寝ていないにもかかわらず、大応援団は汐留駅で降り、銀座で鈴木選手に再度声援を送ってから、また大江戸線に乗って「国立競技場前」に戻り、ゴールを見届けると気合いを入れていた。

 この移動しながらの応援は、公共の移動手段が発達している東京だからこそ可能なのかもしれない。レースの最終盤、再び大江戸線で国立競技場前の駅に到着した私は、車両のドアが開くと同時にダッシュをして地下から地上へと駆け上がっていく多くの観客たちの姿に、MGCのレースを走る選手たちのラストスパートにも優るとも劣らないパワーを感じた。

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