プロランナー神野大地の重大決意。「山の神」の肩書きはもういらない (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 陸上のプロはまだ少数派だが、プロだから何かをしないといけないというのはない。レースに勝つことは大事だが、スポンサーがその活動を認めてくれればレースだけにとらわれず、幅広くいろんな活動をする選手がいてもいい。

---- レースだけではなく、いろんなことにアプローチしていくと?

「そうですね。この先の人生は長いですし、引退したあとに何をしようかと考えるんじゃもう遅いと思うんですよ。僕は、プロランナーとしていろんな活動がしたいし、同時に自分で生活していくための収入の柱をつくっていかないといけません。そのための一環として自分のブランドでネックレスをつくったんですけど、そうしたら『金に走ったな』とか言われて(苦笑)」

---- 批判的な意見が多かった?

「そういう意見が出るのはわかっていました。でも、そういうのもプロだから仕方ないと割り切っています。ただ、多くのファンは支持してくれています。とくにMGC以降はファンの反応が変わりました。それまで僕のツイッタ―は70%の人が応援してくれる人で、30%が批判だったんです。でも、MGCのレースあとは批判的な意見がほとんどなかった。その時、なぜ僕のことを応援してくれているんだろうって考えたんですが、ファンは僕の結果じゃなくて、僕の取り組みに共感してくれているのかなと思うんです。みんな、僕に力がないことをわかっているんですよ。力がない人間がいろんなことに挑戦して、努力して力のある人間を倒していく。それを僕はツイッタ―を始めSNSでオープンにして、すべて見せているので応援してくれているのかなと思います」

---- ファンの声が神野大地を支えている?

「間違いないですね。今回、僕ひとりで競技をしていたらもうやめていると思うんです。でも、ファンや周囲の人が『まだやれるよ』って応援してくれる。ファンのコメントを見て、まだいけるよっていう気持ちにさせてくれる。応援してくれる人のために僕は走ることを含め、いろんな形で恩返しをしたいなって思っています」

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