東海大の名取が札幌マラソン優勝。絶好調男が全日本駅伝のキーマンだ (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 名取は全日本大学駅伝で8区にエントリーされた。

「大学駅伝は初めてなので楽しみですね。まぁ、どちらかといえば7区がいいですが、与えられたところで勝負するだけですし、出られたらレース展開にもよりますが、区間賞を狙っていきたい。そこでしっかりと結果を出して、箱根につなげていければいいかなと思っています」

 今年の出雲駅伝はアンカー勝負になった。上位大学間の実力差が拮抗し、全日本大学駅伝も7区、8区の勝負になりそうな気配だ。それだけに、名取にかかる期待は大きい。そして、ここで結果を出せば、次は箱根になる。

 夏合宿中、両角監督は湊谷の主戦場だった9区、10区をロード組である松尾、郡司陽大(あきひろ/4年)、小松陽平(4年)、西田壮志(たけし/3年)、鈴木雄太(3年)、そして名取のなかから考えていた。ただ、西田は山上りの5区なので必然的に外れる。

 その一方で、「名取は2区候補としても面白い」と、エース区間の配置も考えていることも吐露した。今年1月の箱根駅伝優勝は、2区・湯澤が粘りを見せて順位を維持。往路で東海大は守りの駅伝に徹し、復路は攻めの駅伝に転じて逆転優勝を果たした。2区は攻めるよりも堅実に......という前回の戦略でいけば、2区に名取が配置される可能性は十分にあり得る。実際、名取は両角監督に「用意しておくように」と伝えられている。

「まだ2区を走るという自信まではいってないです。先生からは(用意しておくように)言われていますけど、いきなり『いけ!』と言われても対応できないので、気持ちだけはつくっておこうかなと思っています。ただ、個人的には箱根は1区を走りたいですね。集団で走ったほうが落ち着くし、走りやすい。自分は黙々と走るように見られがちなんですけど、集団で走るほうが好きです。その前に、初めての駅伝となる全日本でどれだけ走れるかですね」

 最終的に名取が箱根のどこを走るかは、まずは全日本の走りを見てからになる。堅実な走りを見せるのか、それとも2区を任せられるような突出した走りを見せるのか。いずれにしても、全日本大学駅伝を制するためには、名取の走りがキーになることは間違いない。

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

購入はこちらから>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る