東海大の名取が札幌マラソン優勝。
絶好調男が全日本駅伝のキーマンだ

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 今年の2月下旬、それまでジョグしかしていなかったが、3月の学生ハーフに向けてポイント練習をスタートさせた。

「それまでは1キロ4分を切らないぐらいのペースだったんですけど、ポイント練習で3分20秒から30秒ぐらいで走ったんです。ペースを上げていくなかでハーフを走るイメージがわいてきて、動き的には1キロ3分ペースでいけるという手応えを感じました」

 学生ハーフは、63分31秒で自己ベストを更新した。花粉症で苦しそうだったが、ホッとした表情をしていたのが印象的だった。

「学生ハーフはまあまあよかったですね。それまで、あまりにもうまく走ることができなかったのですが、学生ハーフで結果が出たので、練習を積めば走れるようになると自信を持つことができました」

 学生ハーフ以降、名取は徐々に調子を上げていった。

 4月の焼津みなとマラソン(ペアマラソンの部)では、さらに自己ベストを更新する63分04秒で優勝。5月の関東インカレのハーフでは猛暑のなか、5位入賞を果たし、学生個人選手権の5000mでは3位に入った。さらに7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会では1万mを走ってD組で4位。故障することなく夏合宿に突入した。

 その夏合宿でもほぼ予定どおりのメニューをこなし、月間走行距離は990キロを超えた。

「今までそんなに走ったことはないですけど、ケガさえしなければこのくらいやれるんだ、という手応えを感じました」

 当然、両角監督からも「今年は塩澤、名取がいい」と頻繁に名前が出るようになった。

 出雲駅伝のメンバーから外れた名取は、10月6日に札幌マラソン(ハーフ)に出場した。一昨年、湊谷春紀と湯澤舜(ともに当時3年)が出場し、湊谷が優勝、湯澤は2位に入った。その後、湊谷は全日本大学駅伝で5区を走り、区間2位の快走を見せた。

 レース前、名取は「湊谷さん(の優勝タイム)が64分55秒だったので、64分台でいければ上出来かなと思っています」と語っていた。

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