学生長距離界のエース、東洋大の相澤晃。三大駅伝全てで区間記録を狙う (3ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • photo by Osada Yohei/AFLO SPORTS

――大学駅伝三冠に向けて、順調に仕上がってきていると。

「『完全に仕上がっている』とは言い切れません。あくまで僕個人の見解ですが、まだ三冠が狙えると言えるほどチームとして仕上がっているとは思っていないからです。だから、新チームになってからも『三冠を取ろう』という目標は、あえて掲げていないんです。僕らのチームは、東海大のように強い選手が何人も揃っているわけではないので、"チーム力"で勝たないといけない。

 それはすぐに高められるものではないですから、時間を使い、夏合宿を経て、徐々に磨き上げていく。そうやって駅伝シーズンに入り、『三冠を目指せるチームになったな』と感じたら、あらためてそれを目標として口に出してもいいと思っています」

――強力なライバルである、東海大学についての印象は?

「東海大は、プロ野球で例えると巨人みたいなチームですね(笑)。4番打者が集まっていて、個のレベルがズバ抜けている印象です。"黄金世代"と言われているのも納得です。だからといって、『強い選手が集まっているから勝てない』と思ってはいけない。酒井(俊幸)監督からも『黄金世代がいる中で"長距離界のエース"にならないとダメだ』とずっと言われていますし、実際に昨年からはロードであまり負けていませんから、自信を持って戦うことができると思います」

―― 一方、青山学院大学についてはいかがですか?

「青山学院大に関しては、選手の主体性を大切にしているチームだなと感じています。すごく強かった選手が卒業して、少し戦力はダウンしていると言われていますが、各大会に向けてきっちり仕上げてくるんじゃないかと思っています。この前の合宿の時には、主将の鈴木塁人選手(4年)と話をしましたよ(笑)」

――他大学の選手とも連絡は取り合うんですね。

「もちろん互いの戦略などは明かしませんが、やりとりはします。とくに鈴木塁人選手からは、大会前になると必ずLINEで『何区を走るの?』って連絡がくるんです(笑)。箱根の前にも『足痛いらしいじゃん。でも逆に調子いいらしいね』と聞かれて、その時は本当に痛かったので『痛い』って返しました(笑)」

――ライバル間でもそんなやりとりがあるんですね(笑)。では最後に、あらためて今シーズンの駅伝に向けた意気込みをお願いします。

「まだ三冠は目標じゃないと言いましたが、やはりどの大会でも優勝したい気持ちは強いです。ただ、そのためには僕が区間賞を取ることが必須だと思っています。 それに僕は、周囲の方が言ってくれるような"学生長距離界のエース"として覚悟を持って走っていますし、そのポジションは譲れないので、中途半端なレースは絶対にできない。出雲、全日本、箱根全てで区間記録を狙い、全ての大会でトップを目指したいです」

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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