東海大が出雲駅伝に向けムードは最高。誰がどの区間を走るか予想した (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kai Keijiro

 だが、出雲駅伝を直前に控え、指揮官は冷静だ。

「国学院、駒澤がトラックで強さを見せていましたが、それがどれだけ駅伝に反映されるかは、やってみないとわからない。うちは、ほかの大学の動向を気にするというより、自分たちがどれだけ普通に走れるかだと思うんです。

 1月の箱根のように1区からミスやブレーキがなく、全員が普通に力を発揮できれば勝てると思います。目標は学生駅伝3冠ですが、指導する側にとっては、出雲の結果をしっかりと箱根につなげていきたい」

 3区までに強さを見せるのは東洋大、青学大、国学院大あたりだろう。東海大は、3区までにトップと30秒差以内につければ、4区、5区のつなぎ区間とアンカーには経験豊富な選手を置けるので、十分に逆転可能だ。箱根駅伝同様、後半に勝負できるのが、選手層の厚い東海大の強みだ。

 また、東海大にとって出雲駅伝は、新戦力を起用して箱根駅伝で走れるかどうかの見極めのレースになる。昨年の西川や郡司のように、安定して力を発揮する選手がひとりでも多く出てくれば、箱根に向けて選手層により厚みを出すことになり、戦略的に優位に戦える。

 練習ではキャプテンの館澤が来て、積極的に声かけをしていた。練習後の選手たちの表情も明るく、チームのムードは昨年と異なり、非常にいい。

「みんないい調子ですね」

 塩澤の明るい声が、すべてを物語っていた。

 今シーズンの目標は、「学生駅伝3冠」だ。その最初のレースである出雲でつまずくわけにはいかない。

  『箱根奪取 東海大・スピード世代 結実のとき』

【発売日】2019年10月4日

【発行】集英社

【定価】1,300円(本体)+税

【内容】2019年1月3日──。 往路2位から復路8区の大逆転劇で みごと箱根駅伝初優勝を飾った東海大学。 その“栄光”にいたる道程にあった苦難や葛藤、 当日のレース模様などを 監督、コーチ、選手たちの証言を交えて 鮮やかに描き出す。

そして、「黄金世代」と呼ばれて輝きを放ってきた 現4年生たちが迎える学生最後のシーズン。彼らはどのような決意で箱根連覇に挑むのか。 出雲・全日本も含む3冠獲得を目指し、東海大学の「黄金世代」が駅伝シーズンに向け、再び走り出す 。

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