東京五輪4×100mで金メダル獲得のために、日本は何をすべきか? (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakamura Hiroyuki

 そのバトンを受けたサニブラウンは「100mの予行演習じゃないけど、こういうところでもしっかり走らないといけないので100mと同じような走り方ができればいいと思っていました。もっといい色のメダルが欲しかったですが、アジア記録だったので来年に向けていい流れを作ったと思います」と笑顔を見せる。

 一方で土江コーチは、現時点の日本チームでは37秒4が限界のタイムだと考えているとも言い、「今回はサブトラックやトレーニング場で見ていても、各国がしっかりバトン練習をしていたし、戦略も考えてレースに臨んでいた。来年はアメリカやイギリスだけではなく南アフリカや中国も怖いから、油断すればメダルを逃すこともありうる」と、ライバルを警戒する。

 では、来年の東京五輪で金メダルに近づくにはどうすればいいのか。

「バトンパスの技術で得られる利得タイムはカツカツのところまで来ていると思うので、来年に向けて個々の走力を上げることと、その速さをどれだけ生かせるバトンパスができるかが条件になってくる。今は個々の選手もまだ9秒台に止まっていますが、100mで9秒台は当たり前になり、そこからどこまで奥深く入っていけるか。9秒8台や9秒9台前半の選手が出てこなければいけない」(土江コーチ)

 その考えは選手たちも同じだ。桐生は「他の国がバトンパスの練習をしてきたら、対抗できなくなると思うので、個々の走力を上げるのは絶対に必要。100m9秒台や200m19秒台で走る選手が増え、それにバトン技術が加わるようになれば」と言う。

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