東京五輪4×100mで金メダル獲得のために、日本は何をすべきか? (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakamura Hiroyuki

 決勝で多田は、実力者コールマンには及ばないものの、自信を持った走りで白石につないだ。そして、白石もひとつ外側のレーンを走る南アフリカをしっかり追いかける走りを見せる。いい流れを受けた桐生が南アフリカをかわしてアメリカに次ぐ2番手に上げると、思い切り飛び出したサニブラウンの手に一発で入るきれいなバトンパスをした。

 そして、サニブラウンは安定した走りで3位を堅持した。

「決勝は正直緊張したし、コールマン選手や蘇選手、ジェミリ選手というすごい選手たちがいる1走になりましたが、彼らは外側のレーンで見えなかったので力むことなく自分の走りをしていい位置で渡せた」と多田はレースを振り返る。

 白石も「日本代表を背負うのではなく、いつものリレーを走っている気楽な感じに自分のメンタルをコントロールできたのがよかった。決勝は攻めなければいけないと思って、思い切りスタートしたが、多田さんからは加速した状態でバトンをもらえたし、桐生さんにも加速したままバトンを渡すことができた」と話す。

 決勝でメダルを確定させたと言ってもいいほどキレのある走りを見せた3走の桐生は、決勝を前にこんな話をしたという。

「予選は余裕を持ってバトンパスをしていましたが、それでは勝てないと思ったので、白石くんには本気で出るから絶対に追いついてきてくれと言ったし、ハキームくんには予選では軽く出ていた部分があったので、『それはもうやめてくれ。思い切り出ても絶対に渡すから』と話しました」

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