110mハードル高山峻野が世陸で目標達成。弱気節連発も記録はよい (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 昨年までの自己ベストは、17年日本選手権で出した13秒44だったが、今年は6月の布勢スプリントで一気に自己記録を伸ばし、13秒36の日本タイ記録をマークした。それでも5月のゴールデングランプリ大阪で、2.9mの追い風参考ながら13秒26を出していた年下の泉谷駿介(順天堂大)の話になると、「彼には絶対にかないませんよ」と弱気な発言をした。

 また、7月の実業団・学生対抗で13秒30の日本新を出し、8月のアスリートナイトゲームス福井で再び日本新となる13秒25を出したが、世界選手権に向けての意欲を聞かれると、「13秒30を出した時はそれが自分の限界だと思っていたし、今回は完璧な調整でこのタイムが出せただけ。調整が難しい世界選手権でこのくらいの記録を出すのは、今の段階では難しいと思う。世界のトップ選手は100mを10秒1台や2台で走りますが、自分はまだ10秒4~5台なので、もうワンランク上げないと勝ち目はないと思う」と、またしても弱気。

 じつは、それには理由があり、「僕はやろうと思ったり、頑張ろうと思ったらダメになるタイプなので、自分にプレッシャーをかけないようにしているんです」と、あえて自分の力を過小評価する発言をしている。

 そんな高山の今大会の目標は、準決勝進出だった。この日のレースも「準決勝に進めただけで大満足だったから、今日はもう『失敗してもいいや』と思って気楽な気持ちで臨めたし、緊張感もまったくなかった」という。

 決勝進出への欲はなかったかという質問に対しても「いつも自己ベストを出せればいいなと思っているので......。まあ決勝は『ベストを出し続けていればいつかたどり着けるだろうな』という場だと思っているので、特に意識はしていませんでした」と自然体を崩さない。

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