110mハードル高山峻野が世陸で目標達成。
弱気節連発も記録はよい

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kishimoto Tsutomu/PICSPORT

 10月2日、世界陸上選手権の6日目、男子110mハードル準決勝第3組。2日前の予選では、全体5番目の13秒32で準決勝に進出していた高山峻野(しゅんや/ゼンリン)は、予選と同じすばらしいスタートを切った。

調子が悪くなかっただけに、準決勝敗退は惜しい結果だった高山峻野調子が悪くなかっただけに、準決勝敗退は惜しい結果だった高山峻野 決勝進出への条件は各組2着以内にプラス、3着以下の記録上位2名まで。すでに終わった1組と2組の結果では、トップタイムはオマール・マクレオド(ジャマイカ)の13秒08だったが、3着以下のプラス2までに入っている2番目の選手の記録は13秒36と、高山にとって十分に上回れる記録だった。

 さらに、第3組には12秒94のタイムを持つオリアンド・オルテガ(スペイン)はいるものの、それ以外はそれほど差がない選手ばかり。予選の走りを振り返れば、高山が3着以内に入って決勝に進むのは確実と思えた。

 レースの序盤は期待以上の走りで、1台目のハードルを先頭で越えると、3台目までは「力を全く使わずにいけたので、もっと加速できると感じた」という走りだった。そのまま5台目のハードルも先頭で踏み切ったが、そこで太腿がハードルに触れてしまい、少しバランスを崩すと、6台目を超えた後の着地では完全にバランスを崩して失速した。

「5台目の前から、さらに加速するような感覚があったので、テンポアップしようと思ったら、踏切が近くなってしまって太腿が乗り上げる形になってしまった。これまでに感じたことがないような加速だったので、そこで足をさばき切れずにミスをしたという感じです」

 自分でも「あそこから立て直すには無理」と振り返るほど、大きくバランスを崩した高山は、結局13秒58で6位という結果に終わった。

「あの瞬間にもう終わったなと思い、今後につなげようという感じでした。くるぶしがぶつかるくらいならいいけど、乗り上げたらもう終わりなので、もう『ドンマイ』という感じでした」と言って笑う。

 10月3日で25歳になった高山は、17年の日本選手権で2回目の優勝を果たすとともに、同年8月の世界選手権の標準記録も突破。世界選手権に初出場を果たしたが、予選第1組で7位と敗退していた。

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