6年ぶり復帰後、即日本記録更新。なぜ寺田明日香は驚速で進化した? (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Kyodo News(競技)、Sportiva(人物)

 中学3年から見てもらい、高校ではインターハイの100mハードルを3連覇、3年では100mと400mリレーの3冠を獲得した寺田にとって、実業団の選手になっても中村監督は先生のままだった。中村監督側にも、高校を卒業してから指導していた福島とは違い、ずっと指導している寺田にはあまり言わなくてもわかっているという思いもあったのだろう。

「私自身、先生の言うことは絶対だったし、先生の喜ぶことをしたいという関係性があったと思います。でも今は、中村先生にも『それは違う』とガンガン言える。そういう関係性をあの頃も作っておければよかったけど、あの頃は自信もなくしていたので難しかったですね」

 13年の日本選手権が13秒85で予選落ちだったのを機に、寺田は一度目の陸上人生に終止符を打った。

(つづく)

プロフィール
寺田明日香(てらだ・あすか)
1990年1月14日生まれ。北海道・札幌市出身。
日本選手権で3連覇を達成するなど実力の持ち主だが、2013年、23歳の時に陸上競技を引退。結婚出産を経て、2017年には7人制ラグビーにも挑戦したが、2019年からは再び陸上競技に復帰を果たした。

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