神野大地がMGCへ自信「積み上げたものは31人のなかで一番ある」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

 直前までケニアにいると、アフリカの乾いた気候から蒸し暑い日本の気候に体を順化させることができない。また、レース10日前に厳しく、質の高い練習をケニアで行なおうとすると、標高2300mの低酸素の環境では思いどおりの練習ができない可能性がある。レース本番から逆算しての結論だった。

 帰国後は、湯の丸高原で高地合宿を行ない、計画どおりに練習を積んだ。怖いくらい順調に進み、本番を前に徐々に気持ちが高まりつつある。

「僕にとってレース前のワクワク感ってすごく大事なんですよ。結果を出した時、たとえば"山の神"になった時は、1週間後には『山の神になるな』ってワクワクしていたんです。それは無理やりそう思うんじゃなく、自分の練習の充実、メンタルの充実でそういう思いが自然と出てくるんですよ。MGCもやるべきことをやって自然とそういう思いが出てくればイケるかなって思います」

 MCGのコースマップはすでに頭に入っている。

 建設中の新国立競技場近くの神宮外苑をスタートし、東京ドーム、雷門付近を通り、東京駅、東京タワーを経て、靖国通りに戻って、スタート地点がゴールになる。3カ月前、コースを下見がてら試走した。1キロ4分ペースで走り、信号で止まるなどしたために2時間48分かかったが、「楽しそうなコースだな」と思ったという。

「わりと平坦なコースが続きますが、最後5キロの上りはきつい。勝負は35キロ以降ですね。そこでどれだけ粘って前にいけるか。最初は、そこでは先頭にいなくて、そこから徐々に上がっていって逆転するイメージでいたんです。でも、今は何事もなく元気にスタートラインに立てれば、自分が35キロ付近で先頭にいるというイメージができています」

 ただ「レース展開は想像つかない」と、神野は言う。

「誰も予想できないレースになるんじゃないかなと思います。ペースが速くなるのか、遅くなるのか。ペースメーカーがつかないので、どうなるのかわからない。でも、どんなレース展開になっても対応できる準備をしてきたので、落ち着いて戦えると思います」

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