2019.09.04

アトランタ五輪で千葉と川上が示した
日本女子長距離ランナーの底力

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 レースは、ラスト100mで5000mとの2冠を狙った王をリベイロがかわし、31分01秒63で優勝。王は0秒95差の2位で、ワミとツルがともに約4秒差で続く結果。千葉の記録は31分20秒62。日本記録に1秒強まで迫り、「あとちょっとだった」と悔しがった。

「最後まで盛り上がっていたので、『これが五輪なんだな』と実感した」と言う千葉。指導する宗茂監督は「世界で誰が強いのかを何も知らず、リベイロやツルの強さも知らないから、ノビノビと自分のレースができた。それが千葉のいいところ」と話した。

 川上は大会前に少し体調を崩していたが、中盤まではしっかり先頭集団につき、6000m過ぎからは何度も脱落しそうになりながらも盛り返す粘りを見せた。7600mでは完全に遅れてしまったが、終盤には盛り返して、バケイロ(スペイン)などをかわし、最後はロルーペに1秒差まで迫る自己セカンドベストの31分23秒23。7位でゴールした。

「国内のように一列状態にはならないので、位置取りに気を使うレースでじりじりと遅れたけど、せっかくここまで来たのでもうちょっと頑張りたい。『動きたい、動きたい』と思って走っていました。これで満足してはいけないけど、体調を崩したことを考えれば120点です」と、笑顔で話した。

 20歳の千葉と21歳の川上の走りは、世界に通用した。2人は後日、この決勝を振り返って以下のように話した。

「決勝に残って世界と戦えるだけでいい、と思っていたけど、ああいう形になったから頑張れたのだと思います。当日は、すごくあわただしかった。バスで移動したらすぐにみんなのいる部屋に入れられて、籠を置いたとたんに係の人が『レッツゴー!』というので、『エーッ』っていう感じで」(川上)

「みんながそこで着替えていたから、私たちも恥ずかし気もなく着替えたけど、グランドに入場してからが長かった。スタートは他の選手のヒジが当たるくらいだったので、ちょっとでも気を緩めるとコケるような感じでした。だから、コケないようにすることに必死で、ほかのことを考えている暇はなかった」(千葉)