五輪メダル有望の男子リレー。カギはサニブラウンをどこで起用するか (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Matsuo.K/AFLO SPORT

 日本陸連の麻場一徳強化委員長は「エントリーの上限は6名までなので、状況を見て5、6名を代表にする」と話す。前回の17年世界選手権では、100mと200mに出場したサニブラウンが200m決勝後に右ハムストリング上部に痛みが出てリレーを欠場。ケンブリッジも精彩を欠く走りになっていたため、決勝では藤光謙司(ゼンリン)にメンバー変更された。つまり、個人種目2種目を終えると、何かしらのアクシデントが起きるのはこれまでの常であり、東京五輪出場権を最優先に考えれば、5名ではなく6名の選出が妥当だろう。

 6人目の候補には、6月の日本学生個人選手権で10秒12を出した坂井や、60mの室内日本記録を持つ川上、実績のあるケンブリッジが挙げられるが、3人とも期限(9月6日)までに10秒0台を出さなければならない。

 また、サニブラウンがどこを走るかでオーダーが変わってくる。土江寛裕短距離部長は、バトン練習に参加できる機会も少ないことを考慮して、「サニブラウンは、使うなら1走か4走ということになる」と話す。

 さらに、本番でアクシデントが起きた場合に備えて、複数区間を走れる選手を多くすることが必要だ。その点では、桐生は3走のスペシャリストである一方、今季の2レースでは4走を務めている。リオ五輪で1走を務めた山縣も、今季は2走を2回走った実績がある。
 
 この中で、サニブラウンの爆発力を最大限に生かすなら、バトンを渡す心配がない、4走起用がいいだろう。そうなれば1走は山縣か多田、2走は山縣か飯塚で、3走は桐生か小池ということになる。

 世界選手権と五輪でのメダル獲得のためには、個人種目に出場する選手のダメージを想定したうえで、綿密な戦略を立てる必要があるだろう。

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