日本選手権1500m惨敗で決断。東海大主将がもらした悲壮な覚悟 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nakamura Hiroyuki

 3分4439の9位。大会3連覇どころか、今シーズン一番賭けてきたレースで惨敗を喫してしまった。汗にまみれた館澤は、見るからにショックを受けている様子だった。

「完全に力負けです。上を目指すなかで、こういうレースに勝てないのは本当に力不足だなと思います」

 日本選手権2連覇中である王者・館澤が、あそこまで置いていかれるとは想像できなかった。もしかすると関東インカレで敗れたレースがダメージとして残っているのではないか。悪夢のような残像は、そう簡単に消えるものではない。

「うーん、あれがあったからこそ、今回は油断せずにやってこられたけど、逆にあれがあったので、ラストスパートでの自信が100%ではなかったのかなと。自分の武器で勝てなかったというのは、(今回のレースに)影響したと思います。

 しかも今回はラストスパートすらできなかった。日本選手権(のタイトル)だけは譲りたくなかったんですけど、こういう結果になった以上、すべてをレベルアップしないと、次の段階にはいけない。また来年、どんなレースになっても力を見せつけられる選手になって戻ってきたいと思います」

 館澤は自分に言い聞かせるようにそう言った。

 今回は実業団選手に力の差を見せつけられたが、西出仁明コーチは「これからも『1500mの東海』と言われるようにしたい」と語り、駅伝を目指す選手とともに引き続き、1500mに力を入れていくと言う。

 そのことを館澤に告げると、苦笑しながらこう言った。

「まぁこんな形でありますが、初めて飯澤12位)に勝ちました。飯澤も無敵ではないということです。でも、情けない話。飯澤はずっと調子がよくて、東海の1500mを引っ張らせてしまったかなと。飯澤に学生チャンピオンのプレッシャーを感じさせていたのなら自分の責任です。4年生であり、主将である自分が引っ張っていかないといけなかった。全カレ(全日本インカレ)は学生最後の1500mになるので、飯澤と木村で1位、2位、3位を独占して、圧倒的な強さを見せたいですね」

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