東海大の「学生駅伝3冠」に暗雲。期待のエースたちがまさかの不調だ (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 ロングを得意としていた湊谷と湯澤が卒業し、ハーフをコンスタントに走れる選手が不在になった。そこで白羽の矢が立ったのが、松尾と名取だ。

 松尾は1年時に箱根4区、2年時は5区を走ったが、今年の箱根は故障もあって3大駅伝(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝)に絡むことができなかった。捲土重来、最終学年となった今シーズンは何がなんでも箱根を走る意欲に満ちており、春からハーフを中心にレースに出場してきた。また、名取は入学当時から故障が多く、昨年からチームを離れ、単独で強化練習を積んできた。

 3月の立川ハーフで松尾は6位に入り、名取は6331秒の自己ベストで27位、西田は32位だった。焼津みなとマラソン(ペアマラソンの部)も3人で走り、名取がさらに自己ベスト更新して1位となり、松尾、西田も続いた。

 その後、関東インカレのハーフに照準を合わせてきた。調整はうまくいっていたかのように思えたが、いざフタを開けてみれば、両角監督の思い描いていた上位独占は果たせなかった。

 暑さのなか、西田は疲れきった表情でこう語った。

「3人とも入賞しようと練習をやってきました。大会までは順調にやってこられたと思えたんですけど、レースの結果を見ると、気持ちで負けてしまったのもありますが、ピーキングが合っていなかったのかなと思っています」

 果たして、ピーキングが勝てなかった原因なのか。レース当日の30度を超える異常な暑さが影響したのかもしれないが、条件はどこも同じ。東洋大はほぼ無名の宮下隼人(2年)が2位、蝦夷森章太(2年)が4位に入り、定方駿(4年)も6位に入るなど、強さを見せつけた。両角監督が言う。

「東洋は強いですね。勝負を想定して、しっかりと仕上げてくる。西田は昨年から順位を上げ、名取も入賞したことを考ええるとそこへの努力はあったと思うんですが、もっとやれたはずです。(10位の)松尾は物足りない感じです。箱根を走っている選手なので、そこはもう少し違いを見せてほしかったなと思います」

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