3000mSCで惨敗も阪口竜平は
超ポジティブ!「僕には可能性がある」

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nakamura Hiroyuki

 阪口も「もったいなかったです」と冷静に語った。

 4月の兵庫リレーカーニバルでの優勝後、ハードリングについて逆足は折りたたんで跳ぶように改良してきた。大学のトラックには大きなハードルがないので、たとえば1000mを集団で走る時、第2レーンにハードルを置いて、阪口だけそのコースを走り、足の運びを確認したり、着地して加速したり、黙々と練習をこなしてきた。また、練習の一環として5月上旬のゴールデンゲームズインのべおか(GGN)の5000mにも出場した。

「GGNも14分台(14分15秒82)でもうひとつでしたし、練習メニューも走行距離をかなり落として、悪い意味で疲労感がなかった。6月の日本選手権は調整ではなく、春先みたいにしっかり走り込んで、自分を追い込んでいこうと思います」

 レース後、阪口は春のアメリカ合宿で調子がよかった時の足の写真を見せてくれた。トレーニングで太ももとふくらはぎが研ぎ澄まされ、異様なほど筋肉質の足になっており、そのごつい見た目とは裏腹に「すごく鍛えられていたので、走っても全然疲れなかった」そうだ。だが、今回のレース後の足は、写真とは別物だった。筋肉の隆起がなく、全体がのっぺり、ほっそりしていた。

「今回、調整だけだったので筋肉がだいぶ落ちてしまいました。正直、レースの1週間前は『大丈夫かな......』って感じもありました。でも、結果は出なかったですが、これはこれで今後につながるいい経験になりました」
 
 もう気持ちを切り替えたのだろう。その声は少し明るかった。

 レース前の調整やレースプランは、阪口が語るようにいい経験になったに違いない。次に目指すレースは6月末の日本選手権になるが、同じ失敗を繰り返さないように、次はしっかりと仕上げ、レースも積極的に前で引っ張る展開を見せてくれるはずだ。

「日本選手権ではまず学生記録(の更新)ですね。8分25秒ですが、そこにいけるだけの力はあると思っています。今日の結果で『何を言っているんだ』って思われるかもしれないですけど、自分には可能性があると思うので、しっかりと結果を出したいです」

 学生記録を超えれば、必然的に世界陸上参加標準記録(8分29秒)を超え、日本記録の8分18秒93も見えてくる。そうして日本トップとなり、世界陸上でも活躍できれば、目標である東京五輪出場の芽は、より大きく膨らむことになる。

 果たして、セイコーゴールデングランプリでの悔しさを日本選手権で晴らせるか――。阪口の走りに注目だ。

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