神野大地が描くMGCまでの青写真。エチオピア合宿で得た気づきとは? (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Matsuo/AFLO SPORT

 その最初のレースが、5月4日、ゴールデンゲームズインのべおか(通称GGN)の1万mだった。

「1日に帰国して、3日後のレースにどういう反応が出るのか見たかったんですけど、レース前日の状態がメチャクチャよくて、ヘモグロビンの数値もよかったんです。『これは!』って思ったんですが、単純にいうと試合勘がなかったです。

 レースに出ている多くの選手は、ここに照準を合わせていて、この大会までに複数のレース走ってきていると思うんですけど、僕は2019年度初のレースで、しかもトラックレースが1年ぶりということもあってぜんぜん流れに乗れなかった。正直、高地から下りてきたけど、この反応をどう判断すればいいのかっていう感じでしたね。もったいなかったですけど、それも経験ですし、少なくともトラックだと3日前に下りてきてのレースは避けた方がいいなと思いました」

 GGN1万mのタイムは、290586だった。

 前日の調子がよく、28分17秒の自己ベスト更新を狙える状況ではあったが、今回はタイムよりも高地から下ってきた際の効果を知ることが重要なテーマだったので、そういう意味ではひとつ収穫を得られたことになる。

 では、仙台国際ハーフでは、どうだったのだろうか。

「仙台ハーフは帰国して11日目でのレースだったんですけど、ちょうど体がリフレッシュできて、リラックスしてレースに臨むことができました。レースの走り自体も悪くなかったと思います」

 仙台国際ハーフマラソンでの神野は、レース序盤から中盤にかけて非常にいい走りを見せていた。日本人先頭の村山謙太(旭化成)を追走していたのだ。

「最初の1000mの感覚がいい時は、大体レースもいいんです。今回も2分53秒ぐらいかなって思っていたら、2分47秒で『調子いいわ』って感じでした」

 10キロの通過タイムは、日本人トップの村山と11秒差だった。12キロを越えたところで少しペースが落ちたが、6305秒の7位でレースを終えた。

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