東海大の箱根連覇の切り札となるか。鈴木雄太がハーフに狙いを絞るわけ (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Sato Shun

 湯澤のよさは、粘り強い走りと故障しないタフな体だった。初優勝した箱根の時も、直前まで数名の選手が故障で苦しみ、關颯人(現4年)は走ることができなかった。だが湯澤はコツコツと努力を重ねつつ、故障することなく、力をつけてきた。"無事是名馬"という言葉があるが、湯澤にピタリと当てはまる。

 鈴木も1年時はひざを痛めて1カ月ほど走れなくなったことがあるが、これまで疲労骨折や肉離れなど、大きな故障はない。今年3月の学生ハーフ前に足が抜ける感覚になったそうだが、この時もすぐに治った。故障が少ないところは、湯澤に似ている。

「大きな故障がないのが自分のよさでもありますし、だいぶ強くなってきているので湯澤さんのようになれないことはないかなと思っています。ほんと湯澤さんにはお世話になったというか、練習によくつき合わされました(笑)。ポイント練習が終わって、昼食を食べてから12キロを一緒に走っていこうって言われて......その時はさすがに『えーっ』って思いましたね(苦笑)。でも、近くで湯澤さんの強さを見られたのは、今の自分のモチベーションになっています」

 東海大の箱根優勝メンバーは、2区の湯澤と9区の湊谷春紀が卒業で抜けた。

 長い距離を得意とするふたりの選手が抜けたことで、ロングを走る選手にとっては大きなチャンスになっているが、狭き門でもある。山登り、山下りの特殊区間である5区、6区はスペシャリストがいるが、残りの区間の椅子は優勝メンバーを軸に、箱根を走れなかった關、松尾淳之介(4年)らが狙っている。箱根で走るためには、強力な4年生の間に割って入っていくような走力が求められるのだ。

「昨年、箱根メンバーの上級生と練習した時、こんなにも差があるんだって思いました。わかってはいたんですが、その差を思い知らされました。しかも12月の半ばまでは調子がよかったんですが、そこから疲れが出てボロボロになってしまいました。もう同じ思いはしたくないですし、やっぱり箱根を走りたい。優勝してうれしかったですけど、走れなかったのは悔しかった。今シーズンは箱根1本で考えていますし、走るなら9区か10区です。長距離の区間で結果を出したいと思っています」

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