東京五輪でメダル獲得へ飛翔。走り高跳び・戸邉直人が本格化した (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Murakami Shogo

 そんな記録に屋外シーズンで挑戦するにあたり、戸邉は踏切の位置をこれまでよりバーから少し遠くにしなければいけないと言う。それほど、精密で繊細な競技なのだ。

「今回は基本的には昨季と同じ感覚で跳んでいましたが、35を跳んだ時は『バーが少し近い』と感じました。やっぱり2m37~40cmを超えるためには(踏み切りの)位置を、20~30㎝手前にしなければという感覚がある。それをやるとバーに到達するまでの時間が変わったり、踏み切る瞬間のバーの見え方も変わってくると思いますが、それをうまく調整して、今季最後の世界選手権に向けて技術を組み立てていきたい」

 2010年の世界ジュニアメダリスト組には200mの飯塚翔太(ミズノ)や、400mハードルで世界選手権に3度出場した安部孝駿(ヤマダ電機)がまだトップで活躍している。さらに実績を残しているやり投げの新井涼平(スズキ浜松AC)や棒高跳びの山本聖途(トヨタ自動車)も同学年だ。

「マラソンで活躍している大迫傑(ナイキ)と設楽悠太(ホンダ)も同世代なんです。東京五輪も自分たちの世代でがんばっていけたらいいなと思います」

 そう話す戸邉は、4月のアジア選手権は3位だったが、本格化し始めたその実力を国内初戦の5月19日、セイコーゴールデングランプリ大阪で見せてくれるはずだ。

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