東京五輪でメダル獲得へ飛翔。走り高跳び・戸邉直人が本格化した (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Murakami Shogo

 重要なポイントとなっているのが、「6歩助走」に固められたことだ。高校から大学の前半まで助走は11歩にしていたが、その後は9歩や7歩と固まっていなかった。

「走り高跳びは会場によって助走できる広さが違うので、行ってみたら『えっ、今日は9歩取れないじゃん』って、急遽歩数を少なくして跳ぶこともよくありました。それも踏まえて、最終的にどこでも跳べる6歩に落ち着きました」

 陸上競技の場合、条件は会場によって異なる。とくに屋内だと敷いているボードの反発は会場ごとに違い、一歩の長さが5cm変われば、助走を9歩にすると45cmも違ってしまう。だが歩数を減らすことで、その誤差を最小限に抑えられる。

「歩数が少ない分いろんな動きをコントロールしやすくなり、よりシンプルな思考で跳躍できます。僕の場合、踏切の準備の動きをよりスムーズにできるのが強みだと思っているので、6歩助走にマッチしていると思います。それに走り高跳びは、3回連続で失敗しない限りいくらでも続けられるので、試合の中でいろいろ技術を考えていかなければならない。その点でも技術的な思考がシンプルなことは利点だと思います。

 デメリットがあるとすれば、最初の2、3歩で加速するので、踏切の動作を3歩でしなくてはいけなくて、余裕が少ないことが挙げられます」

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