2019.05.01

末續慎吾が世界陸上で銅メダル。
陸上短距離界の「もう一歩」の壁を破る

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by REUTERS/AFLO

 そんな朝原と伊東に加えて、末續が急成長してきた00年シドニー五輪では、その年10秒11のタイムを出した川畑伸吾も現われ、4×100mリレーでも選手たちがメダルを意識するようになっていた。決勝は3走の末續が50m付近で太腿の肉離れを起こしたため6位だったが、その意識は選手たちの心に浸透していた。

 伊東が引退した後の01年世界選手権は、朝原と末續が中心になっていた。準決勝2位のタイムで進出した決勝では、3走の藤本俊之が朝原にバトンを渡す直前、インレーンの選手の腕が胸に当たるアクシデントで5位止まりだったが、それがなければ確実に銅メダルに届く力を持っていた。

 そんな「もう一歩」という殻が破れていなかった日本に、末續がもたらした銅メダルは大きな刺激となった。今では4×100mリレーは決勝進出常連になり、08年北京五輪の銅メダル(のちに銀メダルに繰り上げ)や、16年リオ五輪の銀メダル獲得につながっている。

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