ラストシーズンで気持ちに変化。「東海の異端児」が駅伝参戦に意欲 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Matsuo/AFLO SPORT

 環境面も少し変化があった。

 これまで「居心地がいい」と下級生中心の3寮に居続けたが、4年になって両角監督から「もうダメだろ」と言われて主力選手が生活する望星寮へと引っ越した。

「3寮はふたり部屋だったんですけど、すごく居心地がよかったですし、楽しかったですね。望星寮はひとり部屋で、いいんですけど......なんかさびしいですね。静かすぎて落ち着かないんですよ」

 多くがひとり部屋の環境を望むなか、木村はできれば卒業するまで3寮にいたかったという。だが、望星寮に入り、ひとり部屋になったということは主力として自覚が必要とされるということだ。最上級生となり、1500mをともに走ってきたキャプテンの館澤を盛り上げていくことも必要とされる。

「まぁ、あいつはメンタルも強いんで大丈夫でしょう。その前に館澤に1回勝って卒業したいですね」

 木村は笑顔でそう言った。

 今年1月、箱根駅伝で初優勝を果たし、常勝軍団となるべく第一歩を踏み出した東海大にあって木村のスタンスは異色だ。だが、そういう個人の志向性や競技の多様性を認めているのも東海大のよさである。そのなかで木村は年々、成長してきた。

 木村が5000mで結果を出し、出雲を狙えるポジションにくれば、チームの選手層はさらに厚くなり、今シーズンの目標である「学生駅伝3冠」も見えてくる。果たして、1500mで館澤に勝ち、出雲駅伝出場の椅子を勝ち取ることができるか――。

「東海の異端児」のラストシーズンは、かなり刺激的になりそうだ。

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