ラストシーズンで気持ちに変化。「東海の異端児」が駅伝参戦に意欲 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Matsuo/AFLO SPORT

「そうですね。いつもは先行するんですけど、最後ダメになるんで、最近はちょっと真ん中ぐらいからやっていたし、今日はうしろからやってみたんです。意外と周囲を冷静に見られていたし、これはこれでいいかなって思ったんですけど、まだ調子が上がってこないんで......」

 木村は、2月まで2カ月間ほど右足を故障していて、3月1日の陸連の中距離合宿から走り始めた。その後、このレースに臨む前は4月6日の東海大・日本大対抗戦の1500mに出場し、3位に終わった。

「この時も、最初は真ん中からうしろあたりを走っていたんですけど、攻め切れなくて。練習ではまあまあ詰めていたんですが、レースにうまく合わせられないというか。今日は日大対抗戦の時よりかはよかったですけど、なんかなぁ......って感じですね」

 思ったような走りができていない現状に表情が曇る。対抗戦の1500mでは1年生の飯澤千翔(いいざわ・かずと)に負け、館澤も2位に終わった。木村は3位になったことよりも、館澤が飯澤に負けたことに驚いたという。

「飯澤は正直めっちゃ強いですね。あいつは、館澤と同じでラストスパートのキレがすごくいいんですよ。なんかグングン伸びていくというか、スピード感がすごい。館澤は相当悔しがっていましたね。GGN(ゴールデンゲームズinのべおか/5月4日開催)で館澤・飯澤と走るんで、そこであいつ(飯澤)の鼻を1回へし折ってやろうかなって思っています(笑)」

 新しいライバルの出現に刺激を受けているが、木村にとっては同期の館澤は仲間であり、永遠のライバルでもある。合宿でも一緒に練習することが多く、ウエイトもふたりはかなり前から積極的に取り組み、部内では1、2位を争うほど筋肉がついた。実際、ふたりを見ていると長距離選手の体つきではない。そうして、ここまで切磋琢磨してきたふたりだが、木村はまだ一度もレースで館澤に勝ったことがない。

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