マラソンで東京五輪をめざす鈴木亜由子。トラックとの相乗効果を実感 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 鈴木は、そこから本格的にマラソンの練習を始めた。

「7月にボルダーで初めて40kmを走ったんですが、精神的にも肉体的にも本当にきつかったですね(笑)。途中で『あと半分も体を動かし続けなくてはいけないんだ』とか、『ゴールをしなければ終われないんだ』と思って。止まれない競技だと実感しました」

 春先に右足甲を痛めていたこともあり、高橋昌彦監督からは北海道マラソンを回避することも提案されたが、鈴木は「壊れたら、それも仕方ないこと」と挑戦することを主張した。

「最後には私が決めましたが、監督とはけっこう協議を重ねました。監督は私のスピードを生かせるところ(名古屋など春先のレース)で勝負させたかったようで、それは花観ちゃんで経験しているから『練習は絶対に失敗させない』とも言われました。私もその気持ちはわかったけれど、毎年のように冬には元気がなかったので、その中で練習をやって万が一というのもあるし。正直に言えば、ビビりですね(笑)。

 北海道の場合、1位なら2時間32分以内、6位までなら2時間30分以内でMGCを獲得できるから、トライしやすかったのも事実です。高速レースよりもタイム的には緩いし、暑いのも好きだからいけるんじゃないかなという思いもありました」

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