神野大地がMGCで勝つための戦略。
エチオピア合宿で何を得てくるか

  • 佐藤俊●文・写真 text&photo by Sato Shun

神野プロジェクト Road to 2020(29

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 神野大地は、3月3日の東京マラソンでMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)の出場権を獲得した。

 今まではMGCの出場権を獲ることに集中してきたが、今度は東京五輪のマラソン代表の座を射止めるために、MGC本番で2位内に入ることを目標にトレーニングを重ねていくことになる。本番まで半年という時間は決して長くはなく、神野はそこに至るまでに新しいことに取り組むこともトレーニングを変える必要もないと考えている。

中野ジェームス修一氏(写真奥)とトレーニングに励む神野大地中野ジェームス修一氏(写真奥)とトレーニングに励む神野大地「継続と積み重ねが重要だと思っているので......」

 神野はキッパリとそう言った。

「今まで、僕はずっと中野(ジェームス修一)さんと2020年の東京五輪でメダルを獲るためにトレーニングを積んで来ました。MGCを取るための体作りは昨年の段階でとっくにできていたんですが、腹痛が起きて取れなかった。ようやく東京マラソンで獲れましたけど、今度はMGCに勝つためにゼロからのスタートだよね、ということにはならないんです。僕はMGCを獲り、MGC本番で勝つことも含めてトレーニングをずっと続けてきました。ここからすごい力をつけていかないとMGCは戦えないよねっていうことではなく、自分にとってはもうそのトレーニングもしてきているので、あえて特別なことをする必要がないんですよ」

 レイヤートレーニングは47回目、体幹を鍛えるループトレーニングも継続している。神野の言葉を借りれば、トレーニングしたものにようやく自分の体が追いつき、フィットしつつある状態だという。

「MGCで戦える足をこの2年間、レイヤートレーニングでつくってきたし、つくった足をようやくうまく使えるようになってきたんです。MGCはまだ暑い時期でのレースですし、ほかの選手はそのレースにすごいプレッシャーを感じると思うけど、僕はそういうのをずっと感じながら戦ってきた。そういう部分では心のゆとりを持って戦えると思っています。ただ、MGCはこれまでと異なり、一発勝負。タイムよりも順位じゃないですか。ある程度、主導権を握るレースをしないと勝てないと思っています」

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