すべてはMGCで勝つため。神野大地が2時間5分台で走れる体に改造中 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文・写真 text&photo by Sato Shun

 東京マラソン後、腹痛が起こらなかった神野に対して、多くの人がいろんなことを言ってきたという。気持ちだけで腹痛が抑えられるわけがない。何かやっているはずだ。多くの人がそう思って、腹痛について神野に質問を投げかけてきたというのだ。

「僕は隠すキャラじゃないんで、あればいますけど......本当に何もないんですよ。ただ、今回は出なかったけど、僕は腹痛とこれからも向き合っていくし、何も考えずにレースに臨めるかというとそうじゃない。ただ、腹痛については、まずは心の持ちようが大事かなって思っています」

 神野は、苦笑しながらそう言った。

 レイヤートレーニングが続いている。もう3山目のIJKまで来た。いつもは2時間近くかかるが、今回は同じトレーニングの反復もあり、もう少し早く終りそうだ。

 だが、キツさは変わらない。Jのトレーニングに来ると「ちょっと限界が来てますね」と、厳しい表情を浮かべた。その言葉に反応せず、中野は淡々としてトレーニングを進行していく。いつの間にか、流れる音楽がWANIMAから米津玄師に変わっていた。

「はい、ラストいくよ」

 中野の鋭い声が響く。神野は無言で頷き、トレーニングを続けた。4月5日に出発するエチオピア合宿ではレイヤーで鍛えた体を走りにフィットさせていく。そのために合宿出発前日もレイヤートレーニングを行なう。5分台への道は、その積み重ねによってのみ開かれるのだ。

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