箱根を走れなかった男・松尾淳之介が好走。東海大が新シーズンへ弾み (2ページ目)

  • 佐藤俊●文・写真 text&photo by Sato Shun

 初優勝はうれしかったが、走れない悔しさは残った。その後、都道府県駅伝で秋田県代表として急遽、走ることになり、ぶっつけ本番で出場。それが復帰戦となり、そこから合宿をこなし、この日の学生ハーフに標準を合わせて調整してきた。

 レース前、両角監督は「61分台、3位以内」を目標に挙げた。

 気温は13度、風もなく、走るにはいいコンディションだ。スタート直後から松尾は上位集団についていった。

「相澤とかを意識していて、すごくハイペースになるだろうなって思ったので、死んでもついて行こうと思ったんです。でも、それほど早いペースにならないんで、『あれっ?』って思いながら走っていました」

 15キロ手前までは「調子は悪くなかった」と言う。しかし、その手前の給水所でうまく給水できなかった上に、コースから膨らんで走ってしまった。その間、先頭をいく相澤らに離された。

「給水でミスして......。それで先頭がめちゃ前に行っていて、追いつくのが大変でしたけど、そこから自分のペースも上がらず、もう普通についていくだけになってしまった。最後は、体を思うように動かせなくなり、止まってしまう感じだったので、もったいなかったです」

 途中まで調子がよかっただけに、自己ベストを更新して3位内に入り、ユニバーシアードの出場権を獲りたかったところだが、それでも収穫は得たようだ。

「今回の上位選手はほとんどが箱根を戦うエース級の選手だったので、自分は箱根を走っていない分、今、自分がどういう位置にいるのかというのを確認することができました。まぁ、もっとやれた感はありますが、これをバネにしてまた鍛え直して、トラックシーズンにつなげていけたらと思います」

 春からは、しっかりと距離を踏む練習をしていきたいと言う。湊谷春紀(4年)、湯澤舜(4年)ら長い距離に強い選手が卒業する分、今の3年生には郡司陽大(3年)ぐらいしか長い距離で強みを発揮できる選手がいない。来年の箱根駅伝、東海大は2区、9区が不在と言われているなか、松尾がそこにハマってくれれば、チームにとってこれほど大きいことはない。そのためにも今回、学生ハーフで松尾が学内トップを取ったのには大きな意味がある。

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