今井正人が粘りの走り。元祖・山の神には「休む勇気」が必要だった (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 岸本勉●写真 photo by Kishimoto Tsutomu

 元旦の全日本実業団駅伝でエース区間の4区を走って区間3位になった後も、今年はきっちりと休みを取り、フレッシュな状態で次に臨もうという気持ちになれたと言い、休む勇気を持てるようになっていた。

「今回は攻める楽しさとか、きついのを我慢する楽しさを全力でやってみようと思っていました。25kmで(日本人トップ集団から)離れた後もそこからはあまり差が開かなかったので、逆に『ここは勝負どころだな』と思って走っていました。実際には前との差は詰まっていなかったかもしれないけど、1kmごとに1秒とか0.5秒ずつ詰まっているような感覚で、自分をプラスに持っていけたと思います」

 今年9月のMGCや来年8月の東京五輪は暑さとの戦いになる。「今回の寒い中でのレースとは条件が異なりますが、その中でも最後の最後まで何があるかわからないという気持ちで前だけを見て走れたことは、次のMGCへ向けて1歩になったのではないか」と、今井は言う。

「最後は駅伝だと思って前の堀尾くんを追いかけました。その走りは自分の持ち味でもあるので。結局とらえられなかったけど、最後の最後まで集中していたので寒さはそれほど感じなくて、『冷えたな』というくらいでしたね。追いかけている時はちょっと川内優輝くんのイメージもありましたね。ああ、こういう走りを彼はしているんだなって(笑)」

 今回の東京マラソンの結果で28人となった9月のMGC出場者。その中に今井が入ったことで、面白さの要素がまたひとつ増えた。

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