東京五輪へ不安増。露呈した日本女子マラソンの強化の遅れ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 30~35km区間は上位8名に限って最速のラップタイムを出した選手に「ラップチャレンジ賞」として50万円の賞金がかけられていたが、16分台にチャレンジする姿勢も見えないまま3人は並走。結局、ジェプキルイがサドを制して賞金を獲得したが、ラップタイムは17分32秒で、小原も17分33秒という凡レースになった。

 35km過ぎには、給水後に小原が前に出てジェプキルイを引き離す展開に持ち込んだが、そのままペースを上げることができず、38km手前でサドに追い抜かれてジワジワ離される展開に。

 この5km区間のラップもサドが速かったわけではなく、仕掛け合戦とは言えなかった。ゴールタイムは1位のサドが2時間25分39秒で、2位の小原は2時間25分46秒と、見どころのまったくないレースだった。

 天満屋の武富豊監督は試合を振り返り、苦言を呈した。

「12月に入ってからやっと練習ができ始め、1月5日に走った30kmがよかったので『これだったらいけるんじゃないかな』と思えるくらいでしたが、その後は腰痛が出て2週間走れず、本人も出られるかどうか不安になっていました。30kmと35kmからのスパートはタイミング的にはベストでしたが、行き切れなかったのは彼女の大きな課題である気持ちの問題。彼女の能力ならいけるはずだが、ここで決めてやるという覚悟のなさが出てしまったと思います」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る