東海大史上最強。箱根駅伝「山コンビ」はいかにして誕生したのか (5ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

 中島のタイムは58分6秒。青学大の小野田勇次(4年)に次いで区間2位で走りきった。一時は走ることを断念しかけたことを考えれば、驚異的なタイムだ。しかも3年連続してタイムを上げてきた選手はいない。小野田にしても、2年時にタイムを落としている。これは、中島が年々レベルアップしている証左だ。

「本音を言えば、小野田さんと勝負したかったです。今年が最後のチャンスだったので。小野田さんに勝てば"山下りの神"になれるし、価値のあることだと思っていたので......」

 中島が勝負したかったという小野田は、5757秒の区間新を出した。それでも中島の走りは東洋大との差を詰め、チームにいい流れをつくった。その後、7区の阪口竜平(りょうへい/3年)が4秒差に迫り、8区の小松陽平(3年)でついに逆転に成功した。

 中島は、アンカーの10区・郡司陽大(あきひろ/3年)がゴールした時、涙がこぼれたと言う。

「涙出ちゃいました。大変なこともあったけど、やっぱりうれしかったので......」

 5区の西田、6区の中島、重要区間でともに区間2位となり、東海大史上最強とも言える"山コンビ"が誕生した。両角監督は今後のふたりに期待しながらも「気が緩みやすいふたりなので『まだ山を走れる選手がいるぞ』と刺激を与えていきたい」と語る。

 それでも来シーズン、ふたりの走りに磨きがかかれば、5区、6区で区間賞はもちろん、区間新も狙えるかもしれない。それは他大学にしてみれば、脅威以外のなにものでもない。そして連覇に挑む東海大にとっては、それが最大の強みになる。

(つづく)

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